泥濘の深海魚

その1曲、1行、1枚、1話が誰かの人生を変えることを信じて。

愛はただ「良い」のか。Love will tear us apartとCeremony 第1部

言葉は論理を形成して、嗜好品のように「正論」という錦をまといながら人間関係を調整している。

とはいえ、「正論」なんて論理は結局、感情が導くもので実は取るに足らないものであったりする。

世の中にある議論が収束しないのは論理なんてもの自体が感情から始まるからであって、「好きか嫌いか」が合致しない限り収束はほぼ無理だ。

 

 「不倫」なんて言葉がある。一般的には道徳的に許されないとする姦通を指していて、既に婚姻状態にある個人が婚姻相手以外の人物と関係を持つことを指している。

この関係で共通しているのは渦中の本人達はほぼほぼ、これを「純愛」だと思いこんでいることで、背徳的な行為ゆえ更に愛は燃え上がっているような嫌いがある。とは言っても、中には「遊び」として付き合う場合もあり、このことでお互いに了解がないとそれはそれで大変なことにもなる。

 

 「ッキーーー!!奥さんに今までのこと全部話してやるわ!!」なんて。

 

 で、私は「不倫はいけねい!」と普通のことを訴えたい訳ではなく、このことを扱った文学や音楽は本当に夥しく紹介しきれない訳で、その中の1つの考えを残しておこうというだけである。

 

 あなたが結婚して子供もいる身分であるにもかかわらず、他の異性を愛してしまったらど、どうするだろう?

 

 離婚という手もあるだろうけど、失うものが多すぎる。ならこのままお互いにとって都合の良い関係を作ろうということもあるかも知れない。浮気や不倫を扱った作品は本当に多いので、そこはWikipediaでも参照いただければと思う。

 

 私の好きなアーティストがいまして、名前をイアン・カーティス (Ian Curtis)という。ニュー・オーダー(New Order)というバンドをご存知であればほとんどの人は気付くでしょう、その前身のバンドであるジョイ・ディビジョン(Joy Division)のボーカルです。

まぁまぁ劇的な人なので色々なところで持ち上げられている訳ですが、確かにそれだけの作詞センスと人生の劇場性があります。

 ファッション業界からの支持も多く、色んなブランドで象徴的にTシャツにされちゃったりしています。

 

 このジョイ・ディビジョンの話題でも良く挙がるのがアンノウン・プレジャーズ(Unknown Pleasures)のジャケットではないでしょうか。

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unknown pleasures

うーん、何度観ても良い。(ま、実際のアルバムに上下の文字はないけどね)

名曲も本当に多いですが、私はジョイ・ディビジョン名義になる前のワルシャワ(Warsaw)時の曲も好きですね。パンクから定義された「1曲3分主義」に乗っかった若かりし単調な曲が多いですが、それが良い。

 

 で、このバンド、とにかくサブカルチャー界隈で持て囃されることが多く、大学生などで洋楽に触れちゃう人はほぼ通るんじゃないんでしょうか?読書にはまった人がノリでジャック・ケルアックウィリアム・バロウズ(バロウズはこのバンドに影響与えてるけど)を読んでしまうように。このアルバムを手に取る人は多いでしょうし、何が何やら分からないまま大人になる人も多いでしょう。それもそのはずで、このバンド、というかこの人、イアン・カーティスの曲は色々と背景を理解しないとあまり入ってこないことが多いんですよね。このアルバムに関して言うと「シーズロストコントロールは自分が福祉施設で働いていた時の経験が基になっている」などなど。ここらへんも今ではwikiですぐ出ますので。興味のあるかたは是非。

 少し遠回りしましたが、私はこのバンドを云々したいのではなく。イアン・カーティス(以降、イアン)と2つの曲に対して書きたいだけなので。 

 バンドもファクトリーと契約し、(ここらへんのことは24アワーパーティー・ピープルにて詳しい)いよいよセカンドも吹き込んだし!メジャーで売れまくるぞ!という時にイアンは自殺してしまう訳です。動機としては兼ねてより重くのしかかっていた住宅ローンや子供の出生によるプレッシャーからくる鬱病をベースとして、併せて「てんかん」を発症してしまい、この発作に毎日怯える日々が続いたことが挙げられるようです。

 この鬱とてんかんという病気は70年代の世界ではなかなか認知されておらず、治療もあまり十分ではなかったようですね。

 しかし、もうひとつ原因があるとされています。それが「妻以外の恋人」で。とあるイベントで知り合った女性とすぐに意気投合、恋仲になるわけです。ここで最初に私が書いたところに戻るのですが、彼はこの二人の女性に挟まれた状態で苦しむ訳です。

 

  愛人とただの遊びであれば苦しむことはなかったでしょう。本当に愛してしまったから想えば想うほど辛い訳です。

 イアンは真面目過ぎました。

 売れているバンドのフロントマンとして、ニューウェーブの旗手として、父親として。ただ、不貞行為に溺れる最低な男として。自縛は強くなるばかりであったはず。

 そこで生まれた言葉が

 Love will tear us apart 「愛が僕らを引き裂く」

 

 

この曲はJoy Divisionにおいて最高の1曲として挙げる人が多い。

 

 ここからは個人の意見です。 

 確かに、セールス的にもこの曲は売れたし、イアンの心情が直接的に表れています。

でも個人的には個人的にはセレモニー(Ceremony)が一番にじみ出ていると思うんです。

 

その2へ続く。

 

 

BEST OF

BEST OF

 

 

スタート

始まりというのはいつも期待があるもの。

自身の成長や新しい出会いを想像しては、その未来に目を細めるもの・・・私の場合はどうだろうと、この数行を打ち込んでいる時に考えてみる。

「どうせ続かねぇ」

この言葉が最初に頭にやってきた。

そうだと思う。続けようと肩肘張っても自身の縛りに耐えられないし、続かねぇと思ってもやっぱり続かねぇ。

ならどうするのか、もしかしたらそれを発見するためにこのブログを始めたのかもしれない。日記と思えば良いのか、とにかく今までの自分が積み重ねてきた「無駄」をここに溜めていく、後から見たらゴミの山かもしれないが誰かの叡智の一つになればゴミも何かの役に立つのかもしれない。そうなれば嬉しい。

 

人の一生を一言で片付けることはできないし、運命はそれとして変えることは難しいかもしれない。ただ、1曲、1行、1枚、これらが誰かの人生を変えることは大いに有り得る。私はそれを提供したい。そう信じてこのゴミ山を積み上げていこう。

 

丸善梶井基次郎が夢想したような、時限爆弾を仕掛けられれば。ゴミも何かを変えるだろうし。